目次
はじめに
私たちの生活に身近な広告の一つ、チラシ。この記事では、チラシ広告の実施を検討している人に向け、チラシとはどんなもので、配布するまでにどのような準備工程があるのかなど、概要をお伝えします。
チラシ広告を検討されている場合は、以下で説明する配布方法やWEB広告との併用も視野に入れてみると良いでしょう。
チラシ広告とは(チラシとフライヤーの違い)
チラシ広告とは、「チラシ」を活用した紙媒体の広告手法です。
チラシの語源は「散らし」で、広告物をまき散らすという意味があります。
身近なもので言うと、ピザやお寿司のデリバリーチラシ、ガスや水道といったライフラインのお困り解消チラシなど、様々な業種の広告として活用されています。
一方で、フライヤーの語源は「flier・flyer」で、現在は禁止されていますが、飛行機やヘリコプターなど空から広告物を配っていた時代に多く浸透しました。チラシとの違いとして、店舗や公共施設のラックに設置され、チラシよりも詳細の情報を伝えるものとして活用されています。特徴としては、チラシよりも小さいサイズで、厚い紙が使用されていることが多いです。
チラシ広告の種類
チラシ広告は、用途によって配布方法が異なります。
以下は、配布方法別に特徴をまとめたものです。制作したいチラシの内容や、ターゲットから配布の方法を考えてみましょう。
配布方法 | 配布先 | 主なターゲット |
新聞折込 | 新聞購読者 | 新聞からの情報収集が習慣化しているビジネスマンや高齢層 |
ポスティング | ポストがある世帯 | 新聞を購読していない世帯 |
フリーペーパー | スーパーやコンビニ、駅の改札付近などのラック | その地域の店舗情報やカルチャー情報、求人情報などを知りたい人 |
同封同梱チラシ | 同封:決済サービスや公共料金を契約している人 同梱:ECサイトで商品を購入した人 | 通販の利用が多い既存顧客や見込み顧客 |
ダイレクトメール(DM) | 商品やサービスを購入したことのある人、問合せ等で得た顧客リスト上の人 | 既存顧客や見込み顧客、休眠顧客(法人や個人宛) |
新聞折込
新聞折込は、新聞を購読している世帯へ一度に大量のチラシを配ることができます。新聞を購読する世帯の特徴としては、新聞からの情報収集が習慣化しているビジネスマンや高齢層などが多いでしょう。
ポスティング
ポスティングは、ポストがある世帯へチラシの投函が可能です。さらに、配布地域や建物を絞った配布も可能で、一人暮らしにも家族世帯へもチラシが届きやすい配布方法です。
フリーペーパー
フリーペーパーは、スーパーやコンビニ、駅の改札付近に設置されたラックを使って配布が行われたり、地域によってはポスティングされたりするところもあります。店舗情報やカルチャー情報、求人情報などが掲載された広告物、つまり地域情報に特化したものが多く見られます。
同封同梱チラシ
同封チラシとは、決済サービスや公共料金の支払いの封筒などに同封されている広告を指し、同梱チラシとはECサイトなどで購入した荷物に入っているチラシを指します。提供するサービスに興味関心を持ちそう、狙っているターゲット属性に該当するなど、ある程度のセグメントに絞った配布が可能です。
ダイレクトメール(DM)
ダイレクトメールは、DMとして略される事が多く、以降DMとして説明していきます。DMは、商品・サービス、キャンペーン案内などを個人や法人宛に郵送する方法です。個人宛で配布するため、比較的開封率が高いことを期待できるでしょう。
チラシ広告の特徴~WEB広告との違い~
ここからは、チラシ(一般的なチラシの配布方法である新聞折込やポスティング)と、WEB広告を使った集客の違いについて以下4つのポイントから解説していきます。
ターゲット
一般的に、チラシを制作する際はあらかじめ、どこの誰に配るものかを決めます。チラシは、ターゲットを店舗の近隣住民や、配布の中心となる駅を利用する人たちとすることが多く、店舗型の集客に向いています。
一方でWEB集客の場合は、インターネットを使っている人であれば誰にでもアプローチすることが出来ます。セグメントを設定することでより効果的に配信ができますが、高齢者や子供を含む層への広告配信は難しいと言えるでしょう。
店舗誘導
チラシ広告の店舗誘導は、店舗に持ってくるとメリットが得られるものがあります。例えば、新規OPENの告知チラシで、チラシに付属したクーポンを切り取って来店すると、〇〇が無料!など、チラシを持っている人限定で、メリットが得られるという誘導の仕方が一般的です。
WEB広告の店舗誘導も、似たようなものがあります。このフォームから申し込むと、エステが初回限定無料になるなど、端末内でアクションに繋げる方法です。
どちらも店舗誘導に有効な方法の1つですが、チラシを持っている人と、WEB広告が表示される人とで、配布セグメントの細かさに違いが現れます。チラシの場合は、ポスティングや折込といった配布方法で配布可能な世帯へ投函されますが、WEBの場合は、「〇〇に興味のある〇〇区の女性」と言った設定で配信可能です。配布地域が限定されているか、属性が限定されているかという点で異なり、店舗への誘導はいずれも有効という事が言えるでしょう。
保存性
チラシ広告は、期限をつけて即効性を求めるものと、認知拡大の施策として活用するものの2種類があります。スーパーやドラッグストアなどのOPEN記念セールといったチラシは、集客の即効性が期待できるでしょう。一方で、水漏れ工事や不用品回収などのチラシは、今すぐ必要ないがいつか必要になるかもしれないと、保存しておいてもらえるような紙面にすることで認知拡大が狙えるでしょう。
WEBの広告は、インターネットに触れている間が広告に触れる時間なので、検索窓やサービスサイトを離れると一旦見れなくなってしまいます。そのため、いつか〇〇しようというよりも、今すぐ〇〇したいといったニーズに向いています。そのためWEB広告でよく見かけるCV(コンバージョン)ボタンは、「今すぐ相談」や「無料〇〇体験」など、行動に直結するものが多いです。
制作期間
チラシ広告の制作期間は、制作物の内容や難易度にもよりますが、デザイン会社や広告代理店に依頼する場合、デザインの完成までに約1〜2週間かかるのが一般的です。また、これ以前に、デザイン制作の素材集めをする必要があり、その詳細は以下の通りです。
企画:どこの誰に向けた広告かを考え、全体のイメージを固める
原稿作成:掲載に最低限必要な情報と、訴求する内容にそった原稿の作成
写真素材:使用したいイラストや写真素材を揃える
これらを準備したうえで制作作業がスタートする場合が多いです。
制作スタート後、デザイン会社から提出される最初のデータを「初稿」といいます。
その初稿をもとに、画像やイラストの差し替え、文言の修正を繰り返し、校了(データ完成)まで進行していきます。
WEB広告の場合も、制作自体は上記とほぼ同じ工程です。大きく違う点としては、コーディングという作業が追加発生することです。これは、制作物をWEB上で表現するためのもので、サイト上の配置やお問合せフォームにつなげる導線の設定などが含まれます。
こちらも、ものにより作業時間が異なりますが、LP作成の場合は約1〜2週間かかると言われています。
チラシ広告の作成から配布まで
チラシ広告の作成フローは、大まかに分けて以下の通りです。
企画→デザイン制作→印刷→配布
それぞれポイントとなる点を説明していきます。
反響が出るデザインの作り方
チラシ広告は、一般的な配布(折込やポスティング)の場合、他の郵便物とともにポストに投函されます。そこで手に取ってもらえるかどうかポイントになるのが、パッと見て何のチラシで、どんなメリットがあるかが分かることです。
一般的に、1面を読もうとするとき、「Z」の書き順に沿って読まれると言われています。
そのため、一番上には何の情報か/どんなメリットがあるか伝えたい情報の記載がオススメです。
何のチラシか分かりやすくするために、色味も重要なポイントです。
例えば、高齢層向けのチラシであれば派手な色は最小限に押さえ、目に優しい色合いを基調とするなど、ターゲットによっても見やすいデザインを意識しましょう。
データの作り方、トンボなど
イラストレーターなどのデザインソフトで制作する際、最終的に印刷用のデータとして仕上げる必要があります。デザイン制作をする際にミスが多い点を取り上げて説明します。
・トンボ
周りに白いフチがある場合は、印刷が終わって“袋断裁”という加工のもと、指定のサイズにカットされます。そこで必要なのが「トンボ」です。トンボとは、トリムマークの事で、印刷範囲や断裁のラインなど加工の範囲を示すガイドです。この断裁ラインに沿って裁断されるため、袋断裁の場合は白いフチが残るという仕組みです。
・塗り足し
袋断裁の対になる加工方法“化粧断裁”の際に必要なものです。化粧断裁とは、白いフチがなく、紙面いっぱいにデザインが反映されるもので、断裁位置よりも上下左右+3mm背景の引き伸ばしが必要です。その+3mmのことを塗り足しと呼びます。
白いフチの有無で、仕上げるべきデータの形が変わるので、注意して作成しましょう。
印刷手配について
印刷の手配は、広告代理店へ依頼するか、自身でネットから注文できる印刷で刷るかの2つのパターンがあります。
広告代理店へ依頼する場合は、注文最低部数があることや、1週間程度時間を要するなど、ある程度印刷の部数が多くスケジュールが確保できることが望ましいです。メリットとしては、取り扱っている紙や加工の種類が多く、大きな数の注文に向いています。また、希望のイメージに近づけるための仕様案内や、スケジュールを含む納品までの手配を任せることが出来ます。
一方で、ネット注文できる内容は、部数が小さく個人でも取扱いが簡単な仕様のもの(A4サイズのチラシ200部や、名刺100部など)が多いです。こちらは、比較的短い納期での注文が可能ですが、納品スケジュールや納品までの手配を自身で調整する必要があります。
配布方法毎の手配の仕方
配布の手配は、広告代理店へ依頼するか、自身でポスティングや折込の配布センターへ持ち込むかの2つのパターンがあります。
広告代理店へ依頼する場合は、配布したい地域や配布のスケジュールを決め、そこから遡って印刷物の納品手配を行う流れになります。配布したいチラシの内容やターゲットなどの詳細を明確にし、配布方法や実施内容を固めていくイメージです。また、折込の際は紙面審査を通すことが多く、そういった対応も広告代理店が対応してくれます。
一方で、自身で配布の手配をする場合は、ポスティングや折込といった配布センターへ納品し、直接やりとりする流れになります。希望の配布エリア選定やスケジュール調整に加え印刷物を納品し、配布手配をするところまで対応する必要があります。
チラシ広告で反響を出すために
チラシ広告は認知の施策として活用されることが多く、なかでも地域に特化した集客の施策として有効といえるでしょう。以下は、そのチラシ広告でどのように反響を出していくか、オススメの活用法をお伝えします。
PDCAをまわす
チラシ制作の企画段階で重要なのが、PDCAサイクルを活用することです。
PDCAサイクルとは、品質管理に用いられるマーケティングフレームワークの1つです。
P:Plan(計画)
D:Do(実行)
C:Check(測定・評価)
A:Action(対策・改善)
PDCAはこれらの頭文字をとって提唱された考えで、品質向上のためにはこのサイクルを回していくことが重要とされています。
チラシの集客にPDCAサイクルを取り入れるとは、以下のようなイメージです。
P:店舗周辺のビジネス層向けに、フィットネスジムの集客チラシを配る
D:店舗を中心とし10,000部をポスティング
C:10,000部配布して、いつ、どのような人から、どれだけ問合せや予約に繋がったかを計測
A:仕事帰りに寄れることを強みに、ターゲット層が多く利用する駅を中心に5,000部再配布
上記のようなPDCAサイクルを何度も検証し、店舗ごとに合った訴求内容・配布方法・配布地域・配布時期を見定めていく必要があります。
WEBとの連動が大切
上記では、WEB広告との違いを説明してきましたが、チラシ広告とWEB広告を併用して発信していく方法がオススメです。
1)チラシ広告を認知拡大の施策として発信
2)WEB広告で、情報の詳細・実際の来店や購入に繋げるまでの誘導をする
といったようにWEBに誘導するための認知施策というポジションで活用していきます。
店舗集客でよく見かけるものの一つにLINEの友だち追加広告というものがあります。
その特徴は、店舗に対して興味関心が高い層を友だち(顧客リスト)として獲得、以降そのリストに対して広告配信をすることができるという仕組みです。
例えば、飲食店のランチメニューチラシに、このLINE友だち追加ができるバーコードや、IDを記載しておくと、取っておくための情報では無く、気になるから一旦見てみようといった行動に繋げる事が出来るでしょう。
また、店舗の客席に「LINE友だち追加でデザートプレゼント」などもよく見かけます。
チラシを持っていなくても、店舗に足を運んできてくれている“意欲的な客層”に向けてアプローチが可能です。
LINE広告についてはこちら
チラシ広告の費用
チラシ広告を検討されるうえで、費用感を知りたいといった方に向け、一般的な概算をお伝えします。
・A4サイズの両面カラー10,000部 デザインの制作から印刷、折込まで
税込138,000円~190,000円程度
※上記は、チラシに使用される一般的な紙の種類・紙厚の想定
※ラフやテキスト、写真やイラストデータの支給有無により料金が変動します。
※折込の費用は、配布する地域によって単価が異なるため料金が変動します。
検討しているサイズや片面印刷・両面印刷などによって“仕様”が異なり、更に言うと一般的な紙では無く、筆記性の高いものや高級感のある素材などといったこだわりによっても費用が変動します。
上記は、広告代理店にデザインの制作から印刷、配布までを一括して依頼した想定になりますが、ご自身でデザイン制作をして印刷のみ依頼といった方法もあります。後者の方が費用は安くなりますが、広告代理店に依頼した場合、チラシの目的に沿ったデザインをデザイナーのノウハウや実績に基づいて制作してくれます。また、配布地域の選定やスケジュール管理など、広告代理店へ相談すると初めてでも適切な方法を提案してくれるでしょう。
まとめ
いかがでしたか?今回は、チラシ広告の特徴や、具体的な作業フローと発生する費用などをお伝えしました。チラシ広告を検討中の方に知っていただきたいポイントは、チラシ広告は獲得と認知の両方を狙える施策だということです。
店舗型集客に向いているチラシ広告は、店舗や事業所に合った方法で何度か実施していくことによって効果が期待できます。また、WEB広告と併用する方法でより高い集客効果を狙うことも可能です。
ぜひチラシ広告実施の検討に上記を参考にしていただければ幸いです。