形のないものが売れる? 買取サービスの向こう側

ここ数年、ミニマリストや断捨離、片付けブームの影響で、ものをあまり持たない生活をする人が増えています。

引っ越しや大掃除の時もそうですが、不用品の処分は意外に困ります。リサイクルショップで買い取ってもらえるものや、不用品として回収してくれるものは良いのですが、扱いに困るものも出てきます。

また、ミニマリストのような、新しいライフスタイルの方たちも出てきました。
徐々に、ものを持つ文化から持たない文化へと変化しています。

学生時代の友人に、「断捨離したいものは?」と聞くと、「ダンナ」と返ってきました。
・・お互い、扶養家族ではなく、不要家族ですね。

まあ、何はともあれ、処分に困るものはあります。
最低限のものしか買わないので大丈夫、そんな方もいらっしゃるでしょうが、ものじゃなくても売り買いできるとしたら、どうでしょう?

今回は、一風変わった買取について紹介します。

一風変わった買取の形

とある会社のサービスに、「不平不満買取サービス」というのがあります。

その名の通り、不満や不平を買い取ってくれるようです。
内容は何でもよくて、例えば、ある商品のここが気に入らない、ちょうど良いサイズがない・・などなど。専用のアプリで、愚痴や不満をつぶやき、その内容に応じてポイントがもらえるといった具合です。

「不平や不満のない世の中にしたい」

このサービスを始める背景には、世の中にあふれる不平や不満から新たなニーズを探るというのが主な目的です。
ざっくり言うと、ユーザーから集めた不平や不満を、AIが分析をします。そうすることで、今までは気づけなかった、サービスや商品に関する問題点を見つけることができます。改善や解決策を企業や地域に提案するわけです。集めたデータを還元することで、より良い世の中にしていこうという取り組みです。この企業の最終的な目標は「不平不満のない世の中にする」だそうです。

若い頃に抱いた「夢」の値段

もう1つ、変わった買取に、思い出上乗せサービスというのがあります。

これは、品物を買取する際に、その持ちものにまつわる思い出を話すと、その分上乗せして買い取ってくれるというサービスです。

その商品との思い出であれば、悪いことも良いことも、まとめて買い取ってくれる非常に素敵なサービスだと思います。とはいえ、まだ、実施しているお店は少なかったり、買い取れる対象が決まっている場合もあります。宝石や貴金属にまつわる思い出限定、といった具合です。

また、一時的なイベントや、SNSでの告知した時だけ実施しているという店舗もあるようです。大事な思い出を売ってしまう前に、事前に調べることも重要かもしれません。品物にまつわる思い出というと、若かりし頃、抱いて、そして敗れた夢を金に変えてみるというのも一興かもしれません。

形のないものを売り買いする時代

これらのサービスの特徴は、形のないものを買取するということです。

今までは、持っているものを処分する、使わなくなったものを売る、譲るというスタイルでした。ミニマリストや、部屋を借りないでホテル暮らしをするなど、生活様式も変化しています。極力、ものを持たないで生活している人が増えてきました。

また、音楽を聴くためには、昔はCDを買っていました。しかし、今はデータで売り買いされ、定額のサービスに入ることが多くなりました。マンガや本、DVDなども、「もの」からデータへと変わりつつあります。そう遠くない未来には、売り買いされる対象は、家具や本などのものから、思い出や考え方などの情報へと変わっていくのかもしれません。

そのうち、記憶の売買も可能な世の中になるかもしれないですね。

誰かが一生懸命に勉強した「記憶」を売り、それを買った人が受験するみたいな、SFちっくな世界も創造してしまいます。そもそも、買い取った記憶の容量が大きすぎて、使えないという場合も考えられます。
記憶を買い取る際は、個人個人、脳の動作環境を確認してからお願いします、みたいな注意書きが必要ですね。

あくまで想像の話ですが…

個人的な意見ですが、ものから解放されて、全てデータ化、効率化された世界は、それはそれで便利なのだと思います。でも、少し味気ない気もしますね。

規制されたコロナ禍の中で、生まれたビジネスもあるように、生きていく上では多少の不便さも必要なのかもしれません。今はまだ、車が空を飛ばない時代ですが、要はバランスだと思います。形のあるものと、無いもの、便利さと多少の不便さもある世界、満足度の高い世の中にスパイスのように存在する不平や不満。

そんな世の中にはならないよ、とそんな声も聞こえてきそうです。
しかし、人間が想像できることは実現できるという言葉もあります。

うまくバランスをとって、より良い世の中になっていく。
そんな未来に想いを馳せてみるのもたまにはいいものです。

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