今や日常生活には欠かせないコミュニケーションアプリの一つ、LINE。
今回ご紹介するLINE広告は、コミュニケーションアプリで広告配信ができるプラットフォームです。SNSの中でも、幅広い層に利用されているLINEは生活インフラとして定着しつつあり、リーチを増やすために広告の実施を検討する方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、LINE広告の要点を簡単に説明していきます。
目次
LINE広告とは?
LINE広告とは、コミュニケーションアプリ「LINE」の利用者に向けて広告配信ができる広告媒体・プラットフォームです。他のSNSと比較しても、LINEはユーザーが多く、幅広い層にまで浸透していることから、他のSNSには居ない層にまでも広告配信できることが大きな強みなのです。
また、ターゲット、入札価格、クリエイティブを調整しながら広告をだすことで、運用改善を行えるというメリットもあります。
幅広いユーザーカバー率と高いアクティブ率
以下、総務省が発表しているSNS利用率のデータでも分かるよう、全世代においてLINEの利用者率は年々増加傾向にあります。さらに、主なSNSサービスの中でも、LINEの利用率は80%を超えており、幅広い層にリーチできます。後ほどLINE広告の表示先でも紹介しますが、ユーザーが通知の確認や支払い、情報の確認などアクションを起こすためにLINEアプリを使っているアクティブな状態にリーチが期待できます。
精度の高いターゲティング
LINE広告は、後ほど紹介するLINE広告の配信機能の配信方法によりターゲティングが異なります。LINEで取得できるユーザー情報を基に、条件を追加したり除外したりすることによって、精度の高いターゲティングが可能になります。
例としてデモグラフィックデータ配信のセグメントの一部を使って説明します。
<デモグラフィックデータ配信のセグメントの一部>
地域セグメント
都道府県/市区町村/居住地/勤務地/現在地での指定や除外配信が可能です。
年齢セグメント
以下の年代を指定して配信が可能です。
(14歳以下/15-19歳/20-24歳/25-29歳/30-34歳/35-39歳/40-44歳/45-49歳/50-54歳/55-59歳/60-64歳/65歳以上)
性別セグメント
男性/女性/すべて から指定して配信が可能です。
興味関心セグメント
以下18種類のカテゴリから選択可能です。
ゲーム/デジタル機器・家電/スポーツ/職・ビジネス/ファッション/家・インテリア・園芸/テレビ・番組/音楽/教育・学習・資格/金融/健康/エンタメ/ショッピング/書籍・マンガ/食べ物・飲み物/美容・コスメ/旅行/自動車(軽自動車/コンパクトカー/ハッチバック/セダン/スポーツカー/ステーションワゴン/ミニバン/SUVコンパクト/SUVラージ)
4つの項目だけでもこれだけ細かくターゲティングが可能なため、広告を配信したいターゲットに合わせて調整が可能です。更に、これらを含む含まないという条件に加え、過去のユーザー行動からCVに近い設定をすることも可能です。
LINE広告の表示先は12種類
LINEの広告が配信されるのは、LINEアプリ内のみではありません。LINEが提供するファミリーサービス(LINEマンガやLINEニュースなど)や、アドネットワークであるLINE広告アドネットワークから、提携するサービスへ広告が配信されます。主な広告の表示先を見ていきましょう。
トークリスト
LINEのトークリストの一番上に表示されます。メッセージのやり取りをする際、トークリストからメッセージの確認をする方も多いのではないのでしょうか。そのタイミングで広告を表示するということは、アクティブな状態のユーザーにリーチが期待できます。広告のタップで商品やサービスなどサイトに遷移します。
LINE NEWS
LINEアプリ内の「ニュース」タブでは、開いたときのトップページや、記事一覧などに広告の配信が可能です。リアルタイムを追うニュースタブでは、商品やサービスの最新情報や、期間限定のキャンペーンなど、即時性のある広告と相性が良いとされています。
LINE VOOM(旧:タイムライン)
LINE VOOM(旧:タイムライン)は、フォローしている自分や友だちや公式アカウントの投稿が見れる「フォロー中」のタブと未接触のオススメ投稿を閲覧できる「おすすめ」タブに分かれています。どちらにも広告掲載が可能です。各タイムラインの間に広告が表示されます。
ウォレット
生活インフラとして身近なLINEと決済サービスを連携させた「ウォレット」のタブに広告掲載が可能です。
LINEマンガ
LINEマンガは、スマートフォン向け電子コミックサービスで、若年層を中心に幅広い世代で利用されています。マンガリストの間や読み終わった後の画面などにも広告が表示されます。
LINEポイント
LINEポイントは、「友だち追加」や「動画視聴」や「ミッション」など指定された条件をクリアすることでポイントが貰えるサービスです。広告はポイント獲得条件一覧などに表示されます。
LINE BLOG
アーティストや著名人をはじめとした、公式ブロガーが情報発信やコミュニケーションツールとして利用しています。広告は投稿されたブログのタイムライン上に表示されます。
LINEチラシ
LINEチラシは、周辺地域店舗のセールや特売情報などをチラシメディア上で閲覧できるチラシメディアサービスです。購買意欲の高いユーザーにアプローチが有効とされています。
LINEクーポン
コンビニ、スーパー、飲食店、ドラッグストア、レジャー施設など全国の幅広い店舗で、
クーポンが表示されている画面を提示するとクーポンが利用できるサービスです。
LINEマイカード
LINEマイカードとは、LINEアプリ内で利用しているポイントカードや会員証をLINEアプリ内で一括管理できるサービスです。
LINEショッピング
ファッションから家電やスポーツ用品まで多数のジャンルでラインナップをそろえるショップで、アプリから検索・比較・購入できます。広告の表示場所はトップページ、商品検索ページ下部などです。
LINE広告ネットワーク
LINEと提携する外部アプリやメディアへ向け広告配信が可能です。ライフスタイルやマンガアプリなど多数ジャンルのメディアを網羅しています。
LINE広告の配信機能
LINE広告ではターゲティングが細かく設定できるため、目的を明確に運用して行くことが重要です。
デモグラフィックデータ配信
デモグラフィックデータ配信は、LINEに登録している情報やLINEでの行動履歴をもとに広告を配信できる機能です。
年齢/性別/地域/興味関心/属性/行動など、配信の対象となるユーザーの基本的な属性に加え、興味関心を設定してターゲティングすることで、配信する広告に興味を持ってもらいやすいユーザーへの表示が見込めるため、費用対効果が高い配信方法とも言えるでしょう。
オーディエンス配信
オーディエンス配信は、一定条件を満たしたユーザーにセグメントをかけ、広告を配信することができる機能です。一定の条件とは、アプリ内のアクションデータやLINE公式アカウント友達情報などといった、ユーザー情報から抽出し設定できるものです。
友だち追加(cpf)
cpf=cost per friend:SNS広告を利用してファンやフォロワーを新規獲得する為にかかる費用(LINE広告の場合は友だち獲得)
友だち追加広告は、LINEアプリ内で友だちを獲得するために広告を出す機能です。エリアや年齢性別、興味関心を絞ったターゲティングにより、質の高い友だちの獲得が見込めます。友だち追加広告は、友だち追加されるごとに料金が発生する仕組みで、安価に始めやすいというメリットもあります。
LINE公式アカウントの友だちオーディエンス配信
すでにLINE公式アカウントを友だち登録しているユーザーと、LINE公式アカウントをブロックしているユーザーとの2つのユーザーデータを元に、類似した未接触のユーザーへ広告配信ができる機能です。
類似配信
上記オーディエンス配信をして、商品の購入やサイトへの登録などといったコンバージョンに至ったユーザーと、その類似ユーザーに向けて広告配信できる機能です。
類似度は手動か自動で設定が可能です。手動の場合は、1~15%の間で任意設定をし、自動の場合は、パフォーマンスが保持できる%で自動調整されます。
リエンゲージメント配信
すでにアプリをインストールしているが、休眠顧客になっているユーザーに対し、再アクションを促す機能です。
自動最適化配信
機械学習を利用してデータベースを作成し、広告入札を自動的に行う機能です。自動で入札調整しながら配信を行うのが特徴です。
予約型広告
あらかじめ配信面や期間といった内容が定められている広告で3種類あります。
こちらは、リアルタイムに調整ができる運用型広告とは異なり、配信後の調整が出来ません。
- 「リーチ&フリークエンシー」:月1回以上タイムライン広告と接触がある利用者に表示
- 「ファーストビュー」:1日1社限定でタイムラインの初回起動時に表示
- 「ブランドリフトサーベイ」:リーチ&フリークエンシーと合わせ、広告接触の有無でユーザーを抽出し、それぞれのユーザーに対してブランドリフト調査が可能
LINE広告の費用について
LINE広告は小額からでも予算に応じた広告出稿ができます。LINE広告の課金方法を紹介していきます。
クリック課金
ユーザーが広告をクリックし、リンク先のページへ遷移した際に料金が発生する方法です。下記で説明するインプレッション課金とは異なり、広告が表示されただけでは料金が発生しません。そこから先の、リンク先をクリックしてどこかのページに遷移するなどのアクションを起こした場合に料金が発生する仕組みです。
インプレッション課金
動画枠が完全に表示されると料金が発生する方法です。広告である動画枠が100%表示された状態をインプレッションと呼び、その表示させた回数ごとに課金されます。99%以下ではインプレッションとして換算されないため、料金が発生しません。
友だち追加課金
LINE公式アカウントを友だち追加すると課金が発生します。
最低出稿金額
LINE広告の最低出稿金額は定められていません。つまり、1日の予算が100円や入札価格が1円などの低い金額でも広告を配信することが可能です。
しかし、LINE広告は入札制(あらかじめ“1クリック100円まで”など払える金額を設定する方法)のため、例として取り上げたような低予算での設定はユーザーに広告が表示されません。
LINE広告の公式サイトでは、目安となる金額と期間を案内しています。
(前略)商材や業種で差異はありますが、月30万円での出稿を3カ月程度続けることで、適切な配信設計と成果を両立させることができます。
「【公式】LINE広告とは丨ターゲティング、配信面、活用事例のまとめ」
LINE for Business
https://www.linebiz.com/jp/column/technique/20191024/
LINE広告の活用事例
LINEクーポンを使った施策
LINEクーポンの成功要因
- 高齢化する顧客にも対応できるSNSがLINEで浸透しやすかった
- メールマガジンを気軽に開封してもらえた
- 店舗内でもLINEクーポンの利用を呼びかけ有益な情報を共有した
→クーポンが、お店をまた思い出してもらえるきっかけになった
LINEクーポンと店舗集客
この事例では、既存顧客を保ちながら、新規顧客へのアプローチも同時に行い、結果的にリピーターを生み出すことに成功しました。プッシュ通知が可能なLINEクーポンで情報を発信し続けることが強みになったのではないでしょうか。
LINEクーポンは、来店や購買といった行動を促す効果が期待できるため、飲食店や販売店など店舗集客に相性が良い広告と言えるでしょう。
LINE広告のやり方
ここからはLINE広告を配信するまでの手順をご紹介します。
LINEビジネスIDの発行
LINEビジネスIDとは、ビジネスや開発者向けのLINEサービスの各種管理画面にログインができる共通認証システムです。登録方法は、LINEアカウントでのログインと、メールアドレスからの新規登録の2つです。
LINEビジネスIDの発行はこちら
参考:「LINEビジネスIDの作成 LINE for Business」
(https://www.linebiz.com/jp/manual/line-ads/account_001/)
広告アカウントの作成
LINEビジネスIDで管理画面にログイン後、広告アカウントの作成をします。注意点として、LINE広告アカウントを作成する際、あらかじめLINE公式アカウントの開設が必要です。LINE公式アカウントの開設は無料で、パートナーや代理店として、LINE広告を運用する場合は、広告主様のLINE公式アカウントを開設します。また、原則としては商材ごとにアカウントを作成する必要があります。
LINE広告アカウントの作成はこちら
参考:「LINE公式アカウント LINE for Business」
(https://www.linebiz.com/jp/service/line-official-account/)
クレジットカードの登録
管理画面内「請求と支払い」から、クレジットカードの登録を行います。
利用可能なクレジットカードブランドは、VISA/Mastercard/アメリカン・エキスプレス/JCB/ダイナースクラブなどがあり、海外発行のクレジットカードやプリペイドカードは未対応です。
※登録後、LINE広告の運営元が企業や商材情報などの審査を行います。
メディアの登録
作成した広告クリエイティブを入稿します。
LINE広告で配信される全てのクリエイティブ対して、必須ルールが設けられているため、以下に注意して進行しましょう。
広告主や広告主体者の明示
- 広告主の正式名称
- 広告主の住所
- 代表者名
- メールアドレスや電話番号などの問合せ可能な連絡先
禁止されている表現方法
- ユーザビリティが低いと判断される表現や広告
- ユーザーが不快と感じる可能性がある表現
- 不当表示に該当する可能性がある表現
- ユーザーの投機心や射幸心をあおる可能性がある表現
- 第三者が権利を有するものを利用した表現
間違えやすいものとして、「友だち」表記の間違い
LINE広告では、「友だち」の表記が正しく、「友達」や「ともだち」「お友だち」などの表記間違いに気を付けましょう。
参考:「クリエイティブガイドライン」LINE for Business
(https://www.linebiz.com/jp/service/line-ads/guideline/)
タグの設置
メディアの登録をしたら、タグを設置していきます。
ここで使用する“タグ”とは、広告を計測する際にサイトに組み込むコードを指します。LINE広告で正確な効果測定をする為には、タグの設置が必要です。
LINE広告には3種類のコードがあり、詳細について説明していきます。
- 「ベースコード」
ユーザーの行動を計測したい全てのページに設置するコードです。注意点は、ベースコードは広告アカウント毎に取得する必要があります。
2.「コンバージョンコード」
広告配信の目的である、フォームへの入力や商品購入などの動きを計測するコードです。こちらはベースコードと一緒に設置します。
3.「カスタムイベントコード」
特定の動きをするユーザーに対しての、効果計測が可能なコードです。例えば、滞在時間が3分以上や、訪問回数が2回以上などの条件を自由に設置できることが特徴です。こちらもベースコードと一緒に設置します。
広告配信の設定
キャンペーン設定
キャンペーンで、配信の目的や配信予算、掲載期間を設定します。
キャンペーンの設定により、配信停止漏れや予算の超過と過少防止になります。
広告マネージャーから「+キャンペーン作成」で目的や名前や期間の設定を行います。
広告グループの設定
広告グループは、1日の予算、ターゲットの設定などが出来ます。
広告グループを設定後、ターゲットの選択が可能です。
つぎにどの画面に配信するか配信の設定をします。
最後に入札単価の設定や課金の設定、入札戦略を選択します。
前項で設定したLINEタグやターゲットを基に、配信の詳細設定が可能です。
広告の設定
ここでは、広告のテキストや画像やリンクの管理します。
画像や動画といったクリエイティブをUPすることが可能で、前述しているメディアの登録でUPしたクリエイティブを使用することもできます。
審査完了後、配信開始
審査が終了すると、「未配信」から「一時停止」に変わります。そして停止マークのプルダウンから「利用可能」を選択し、配信開始です。広告のみならず、キャンペーンと広告グループもすべてオンにするとエラーは表示されません。
LINE広告の運用方法
LINE広告の運用方法は、自社での運用と代理店での運用に分かれます。そして、コストやクオリティが大きく変わるため、どの方法で運用していくかを考える必要があります。以下ではそれぞれのメリットとデメリットを説明していきます。
自社運用
費用を抑える運用方法は、自社運用です。クリエイティブの作成から、ターゲティングの設定や費用の調節まで一連の流れを全て自社で行います。
LINE広告の実施が初めてであっても、データを分析しながら運用していくことが可能なので、自社の広告配信目的に沿った方針で実施していくことが可能でしょう。
分析や広告運用の専門的な知識を持つ人材がいればベターで、運営していくためのマンパワーが必要なのがデメリットとして上げられるでしょう。
代理店に運用を依頼
LINE広告を自社で運用できない場合は、広告代理店に依頼する方法があります。広告運用のプロが持つ専門的な知識を基に広告配信ができます。例えば、自社運用で原因が分からないエラーやトラブルが起こったときの対応や、その後のフォローなども期待できるのではないでしょうか。
代理店や運用詳細にもよりますが、こういったサービスを受けるにはまとまった費用が必要となるでしょう。
自社×代理店の活用
自社で対応出来る領域があり、全てをお願いする必要がない場合には、上記で紹介した運用方法を組み合わせるのもオススメです。
例えば、広告配信の準備段階である配信目的を固める、データの分析などを自社で担当し、クリエイティブの制作や専門的な知識が必要になる場面で代理店への依頼を検討するのも良いでしょう。
おわりに
いかがでしたか?今回はLINE広告の要点を簡単に説明しました。
LINE広告は、幅広いユーザーを抱える上にターゲティングに優れている為、他のSNSには居ない層にもリーチさせやすいのが特徴でした。アクティブな状態のユーザーに対し、いかに詳細なターゲティングで効率よく広告配信の目的に合わせて配信できるかが運用のポイントになるでしょう。