世界最多のユーザー数を誇るFacebook(フェイスブック)。
日本国内でのメインユーザーは30代以上で、プライベートに加えビジネスシーンでも多く利用されています。今回は、Facebookをはじめとするアプリやサイトに広告を掲載できる”Facebook広告”について、その特徴から運用にあたる費用までを徹底解説します。
目次
Facebook広告とは?
Facebook広告とは、Facebookをはじめとしたアプリやサイトに掲載することができる広告のことです。大きく分けてFacebook、Instagram(インスタグラム)、Messenger(メッセンジャー)、Audience Network(オーディエンスネットワーク)の4つに広告の掲載が可能です。
Facebook広告の特徴
ここではFacebook広告の3つの特徴をお伝えします。
1.ターゲティングの精度が高い
1.ターゲティングの精度が高い
Facebookは基本的に、実名での登録などといった正確な情報の記載が求められます。プロフィールを詳細設定することが可能で、基本的な情報に加え、興味関心のある情報やビジネスの情報なども紐づける事ができます。こういったユーザーの傾向を知ることで、広告主の意図に沿った広告の配信が可能、つまり精度の高いターゲティングを実現することができます。
プロフィールの登録項目
Facebookを新規登録する際の必須項目が以下です。
- 電話番号/メールアドレス
- パスワード(自身で設定)
- 名前(実名での登録が原則)
- 生年月日
- 性別(男・女・カスタム)
正確な情報の登録でないとアカウントが使えなくなってしまう恐れがあるため、大抵の利用者は、推奨されている実名での登録をはじめ、正確な情報を登録しています。
基本情報のほかに、プロフィールの詳細情報を追加することが可能です。簡単に紹介すると以下のような項目を自分のプロフィール情報として追加することができます。
<詳細>公開の範囲を制限できます
- 自己紹介:簡単な自己紹介を自由に記載する欄
- 職歴:勤務先の情報
- 学歴:高校や大学など、学歴の詳細として名前や卒業年度など
- 居住地:現在の居住地の情報
- 出身地:出身地の情報
- 交際ステータス:パートナーの有無や、掲載したいパートナーとの関係性や交際歴
- 趣味:カードゲームやシュノーケリングなど、かなり詳細にカテゴライズされており、複数選択が可能
情報の追加・公開範囲は個人で調整できるとしても、これだけの詳細情報をユーザーが登録していることで、広告配信の際に精度の高いターゲティングが出来るのです。
2.購買フェーズのあらゆる層に対応できる
1日のなかで、SNSの利用回数はどれくらいですか?
朝起きてすぐ、お昼休み中、移動中、就寝前など一日の中で何度も利用される傾向にあるSNS。利用シーンが多く何度もリーチさせやすいため、購買フェーズの全てに違ったアプローチを仕掛けることができます。広告によって商品を知り、何度も目に触れることで商品へ興味を持ち、検索やマイページ登録などの行動を起こし、購入を検討する。SNSの購買フェーズでは、最後に「共有」が含まれることが特徴です。クチコミやレビューが広がり、それを受けた人に同じようなサイクルが起こり得ます。
3.人ベースでのトラッキング(追跡)が可能
アプリやサイトを初めて利用する際、「Facebookアカウントでログインする」という方法でログイン・会員登録することは、今やあたりまえになりつつあるのではないでしょうか。Facebookアカウントを持っているユーザーが、他にどんな興味関心を持っているのか、ログインを連携させることで情報収集が可能なのです。
サイトやアプリとの連携が多く利用されている
Facebookアカウントを利用したログインについて簡単に仕組みを説明します。Facebookに関わらず、身近なSNSを利用したログインの方法を「ソーシャルログイン」と言います。新規登録の際に、Facebookで保有している情報でログイン・会員登録ができるため、手間が省けるのがユーザーにとって最大の魅力です。
トラッキングに関してはcookieでの取得だと、PCやモバイルといったデバイスごとでの情報取得になり、さらにクロームやエクスプローラーなどブラウザごとでの情報取得になるため、複数の情報が紐づかず人ベースでのトラッキングが難しいというデメリットがあります。
ソーシャルログインはマルチデバイスで情報取得が可能という点から、複数の情報を人ベースでトラッキングすることが可能です。
Facebookアカウントを利用してログインできるサイトやアプリの例
では実際にどんな場面でソーシャルログインが使用されているのかを図とともに説明します。
◆参考:JINS(https://www.jins.com/jp/corporate/)
マイページログイン画面:https://accounts.jins.com/jp/ja/login
眼鏡などのアイウェアを販売するJINS(ジンズ)では、5種類のソーシャルメディアを用意していました。新規会員登録ではメールアドレスを入力後パスワードの設定や、メール配信についての質問などが用意されていました。Facebookログインの場合は、Facebookに登録している情報を入力することで、アカウント情報を連携させることができ、新規で登録する手間が省けます。
◆参考:Qoo10(https://www.qoo10.jp/gmkt.inc/Company/AboutCompany.aspx)
マイページログイン画面:https://www.qoo10.jp/gmkt.inc/Login/Login.aspx
ECサイトのQoo10(キューテン)でも、同じように複数のソーシャルメディアから、ログインに使用するアカウントを選択できます。
このように、Facebookへの登録情報だけでは分からない興味関心を、情報の連携でトラッキングしているのでしょう。
Facebook広告の配置(掲載先)は4つ
Facebook広告を作成する際、広告を掲載する場所のことを「配置」と呼びます。
ターゲティングに優れたFacebook広告を、実際にどの画面に表示させることが出来るのか、媒体ごとに見てみましょう。
媒体名 | 媒体概要と配置 |
友達・家族等色んな人と繋がることができる 【フィード】 <コンピューター> ・Facebookニュースフィード ・Facebook Marketplace ・Facebook動画フィード ・Facebookの右側広告枠 <モバイルでデバイス・アプリ> ・モバイルニュースフィード 【ストーリーズ】 ・Facebookストーリーズ 【インストリーム】 ・Facebookインストリーム動画 【検索】 ・Facebookの検索結果 【記事】 ・Facebookインスタント記事 | |
Messenger | Facebookを利用している人とやり取りが可能なメッセージアプリ 【フィード】 ・Messenger受信箱 【ストーリーズ】 ・Messengerストーリーズ 【メッセージ】 ・Messenger広告メッセージ |
写真や動画を投稿・シェアできるアプリ 【フィード】 ・Instagramフィード ・Instagram発見タブ ・Instagramショップ 【ストーリーズ】 ・Instagramストーリーズ 【インストリーム】 ・Instagramインストリーム動画 ・Instagramリール動画 | |
Audience Network | Facebookが提携しているモバイルアプリへ広告配信が可能な アドネットワーク 【アプリ】 ・Audience Networkネイティブ/バナー/インタースティシャル |
表から、コミュニケーションツールを中心に広告の表示ができるため、比較的アクティブなユーザーへのアプローチがしやすいことが分かります。
Facebook広告の主な広告フォーマット10種類
広告の配置を決めたら、指定の広告フォーマットに沿ってデータを準備します。ここから、Facebook広告の主な広告フォーマットを10種類ご紹介します。
写真広告(バナー広告)
最も一般的な一枚画像の広告です。使用する写真素材やテキストなどクリエイティブを重視することで、ブランドやサービスの認知向上に繋がります。Facebookページから画像付きの投稿で手軽に作成することができます。
動画広告
動画を使用した広告で、自動再生されるのが特徴です。画像広告と比べて動きがあるため目に留まりやすいという特徴を持っています。
スライドショー広告
複数の画像やテキストに加え、サウンドなどを組み合わせ1つの動画のように表現する広告です。動画よりもファイル数が小さく、デバイスや通信速度に問わずスムーズに表示させることが可能です。
カルーセル広告
一つの広告の中に複数の画像や動画が掲載可能な方法です。各画像や動画にリンクやCTA(Call to Action)ボタンを設定することができ、ECサイトに誘導することができるという点ではECサイトに向いている広告でもあります。
キャンバス広告
ユーザーが広告をクリックするとLPのような画面が表示される広告です。画像や動画といった様々なコンテンツを見せることが可能ですが、他の広告よりも読み込むために時間を要するため離脱されてしまう可能性も高いです。
コレクション広告
カバー画像・動画の下に4つの小さい写真枠が表示される広告で、商品を表示させるECサイトに向いている広告でもあります。
ダイナミック広告
過去、広告主のサイトに訪問したことがあるユーザーに対して、興味を示したものや興味関心がありそうな、個人に合った広告を表示してくれるものです。ユーザーに対してニッチな広告を表示させることができるため、CVR(コンバージョン率)が高い傾向にあります。
リード獲得広告
Facebook広告上で、必要情報の入力を促す事ができる広告です。情報入力の際、Facebookに登録している情報は自動で反映されるため、入力の手間を省き離脱を防ぐ事もできます。
ホワイトペーパーのように、集客の際のリード獲得に向いている広告です。
クーポン広告
クリックするとクーポンが表示され、店舗やECサイトへ誘導することができる広告です。新規顧客・既存顧客に問わず、来店やアクションを促す際に有効な方法です。
イベント広告
開催予定のイベントをユーザーに認知させることができる広告です。Facebook上で公開したイベント概要と配信する広告が合うよう、どのような成果を得るための広告を出すかまで設定できる広告です。
Facebook広告のターゲティングの種類
広告の配置を決め、広告フォーマットに沿ったデータの準備ができたら、どのターゲットグループに配信するか選択します。Facebook広告のターゲティングには3つの種類がありますので、それぞれの特徴をつかみ、目的に合う方法を選んでください。
コアオーディエンス
コアオーディエンスは、広告配信先にルールの設定が可能です。ターゲットを絞る際、「基本情報」と「詳細ターゲット設定」の2つがあり、「詳細ターゲット設定」でターゲットを細かく設定します。
認知度の向上や、ターゲット層にリーチさせたい場合は、詳細設定ができる「コアオーディエンス」でターゲットに近いユーザーに広告を発信する方法がオススメです。
カスタムオーディエンス
カスタムオーディエンスは、アプリの利用者やウェブサイトにアクセスした人など、ビジネスに関心を示している”優良顧客”と繋がることができます。
離脱してしまった顧客に購買を促す・リマインドしたいときは、「カスタムオーディエンス」で既存顧客にアプローチする方法がオススメです。既に何かしらのアクションを起こしたユーザーにアプローチが可能なので、リピートさせるためにも有効でしょう。
類似オーディエンス
類似オーディエンスは、カスタムオーディエンスで表示させるユーザーに近い層にアプローチできます。イメージとして、カスタムオーディエンスの一部と捉えることもできます。興味関心が近いユーザーだからこそ、アクションが期待できる為、サイトに訪問させたい・何かをダウンロードさせたい場合は「類似オーディエンス」がオススメです。
ターゲティングのコツ
上記で3つのターゲティング方法をお伝えしました。上記の方法を適切に使いこなすためのターゲティングのコツがあります。前提としてお伝えしたいことは、ターゲティングが100%コンバージョン(成果)を左右させるものではないので、他の要因を探すことも重要です。
ターゲットを絞りすぎない
初めから完璧なターゲティングは不可能だと捉えていただくのがベターです。配信後のデータを見て、自社サービス・商品にマッチしているターゲットなのかを判断していく必要があります。また、Facebookを利用する際のプロフィール情報登録には、詳細情報の追加が可能とお伝えしました。この詳細情報の追加ですが、例えば「勤務先情報」や「交際ステータス」はプライベートな情報でもあり、Facebookの利用者に公開したい情報として登録する人は多くないでしょう。つまり、見込み顧客ではあるが詳細情報まで追加していない人に広告を発信したい場合は、ターゲットを絞りすぎてしまうことが良い結果にはならない可能性があるということです。
類似のターゲティングを並行して複数行わない
選択する広告の種類によっては、ターゲティング項目の種類が多いものがあります。並行して配信する広告が類似のターゲティングになってしまうと、作成した複数の広告が同じターゲット向けに表示される事になり、自社広告同士で争ってしまう現象が起きる可能性があります。
異なるターゲティングの広告はむしろ平行して実施すべき
前項でお伝えした‟類似ターゲティング”の広告を並行して複数行わない”は注意が必要ですが、異なる条件で複数実施するのは、どういった内容の広告に効果があったのかを検証するためには有効的です。ABテストのように、内容の良し悪しを早く知ることができるという点では良い使い方になるのではないでしょうか。
購買フェーズ別キャンペーンと課金方法
最後に金額設定を決めます。Facebook広告には主に2つの課金方法があります。
クリック課金(CPC=Cost Per Click)
表示された広告がクリックされるたびに支払いが発生する方法です。
本来のターゲットにクリックされれば費用対効果は高いと言えます。申込みや商品の購入といったコンバージョンを目的とする場合に向いています。
費用の目安は100円/click前後と言われています。
オークションでは、ターゲティングによって変動する可能性があります。
インプレッション課金(CPM=Cost Per Mille)
広告が1000回表示されると支払いが発生する方法です。
認知拡大やブランドイメージを定着させるなど、広告を見てもらいたい場合に向いている広告です。
また、動画広告の場合は、ThruPlay(スループレイ)といった課金方法があり、15秒未満の動画が最後まで再生された/15秒以上の動画が15秒時点まで再生されたかといった支払い方が可能です。
費用の目安は100~500円/1,000imp前後と言われています。
目的とフェーズごとの課金方法
目的 | 課金方法 | |
認知 | リーチ | CPM |
ブランド認知度UP | CPM | |
検討 | トラフィック | CPM/CPC |
アプリインストール | CPM/CPC/アプリインストール | |
動画の再生数UP | CPM/ThruPlay | |
リード獲得 | CPM | |
コンバージョン | コンバージョン | CPM |
前項で、2つの課金方法を紹介しましたが、広告フォーマットを選択する際の注意点として、「広告の目的」によって課金方法を選択できない場合があります。
Facebook広告のオークション
Facebook広告には、掲載の可否を決めるオークションが存在します。オークションの仕組みから掲載可否を決める要素について説明していきます。
Facebook広告のオークションの仕組み
Facebook広告では、広告主が設定したターゲティングが2社以上重なると、ユーザーへ表示するにあたり最適な広告を選ぶためのオークションが行われ、ユーザーにとって最適な広告が表示される仕組みです。
A社のターゲティング:日本に住むクライミングが好きな30代女性
B社のターゲティング:クライミングが好きな女性
この場合、“ クライミングが好きな女性 ”というところでターゲティングされるCさんが広告を表示される人にあたります。
前項でも説明した、自社で類似のターゲティングを並行して複数行わないという注意点も上記の説明に当てはまります。自社で作成した広告同士が広告オークションで争う形になってしまうのです。
広告オークションを左右する要素
ここからは、類似ターゲティングとバッティングした際にどのような要素で、広告の掲載可否が決まるのかを説明していきます。はじめに、Facebook広告の広告オークションは、入札価格と広告の関連度という大きな2つのくくりで評価されます。
入札価格
広告枠に配信するために、広告主が設定した費用のことを「入札価格」と言います。
Facebook広告では、前項でお伝えしたクリック(CPC)・インプレッション(CPM)あたりの支払い意思額を指します。オークションで判断されるのは値段のみでは無く、ターゲットに対して広告の関連度も重視されます。そのため、広告の関連度(質)を上げ、いかにコスパ良く入札価格を抑えるのかというところがポイントになってくるのです。
広告の関連度
広告の関連度はさらに2つに分かれます。
推定アクション率
広告を表示するユーザーに対し、投稿に対するユーザーのアクション(クリック、反応、コメント、シェアや拡散)を競合と比較した際の予想値を「エンゲージメント率ランキング」と言います。
そして、広告を表示するユーザーに対し、目的を達成してくれるかのコンバージョン(成果)を競合と比較した際の予想値を「コンバージョン率ランキング」と言います。
上記2つのランキングで推定アクション率を見ていきます。
広告品質
広告品質とは、広告を表示するユーザーが同じ、競合広告と比較した際の、広告の品質評価のことで、品質ランキングとして表されます。
品質ランキングの判断材料は、広告を実際に見たユーザーや、非表示にしたユーザーからのフィードバックなどがあります。そのほか低品質とみなされる、情報の隠ぺいやユーザーを仰ぐような表現、エンゲージメントを稼ぐためのアクションを行った場合なども判断材料となります。
【評価として表示される値】
- 平均以上
- 平均
- 平均以下(下位35%)
- 平均以下(下位20%)
- 平均以下(下位10%)
例えば、品質ランキングが平均以下(下位35%)の場合は、類似のターゲティングをしている他社広告の65%が、自社広告より高い品質評価を得ていると捉えることができます。
オークションで勝つ為には、入札価格(予算)と広告関連度(質)のバランスを見ながら、コントロールしていくことが重要と言えるでしょう。
まとめ
いかがでしたか?今回はFacebook広告とは何か、その特徴から運用にあたる費用までを解説しました。Facebook広告は4つの媒体に配置が可能なうえ、ターゲティングに優れていますが、その一方で広告を表示させる際のコントロールが難しい広告でもあります。どんなひとをターゲットにするか、どうやってオークションで勝っていくか、専門的で難しいところは広告代理店に任せてみるのも、オススメです。