リスティング広告とは?初心者向けに特徴・メリット・コツなど解説

リスティング広告とは

リスティング広告とはインターネット広告の一種で、検索エンジン上でユーザーが検索した検索語句に連動して掲載される広告です。

その特徴から「検索広告」「検索キーワード広告」「検索キーワード連動型広告」「PPC(Pay Per Click)」と呼ばれることもあります。

コンテンツ連動型広告(ディスプレイ広告)もリスティング広告の一種ですが、リスティング広告という言葉は主に検索連動型広告を指すときに使われることが多く、本記事でも、以降リスティング広告=検索連動型広告として使用していきます。

掲載媒体

リスティング広告の一般的な掲載媒体は検索エンジンで、掲載依頼先は主に「Google」「Yahoo!」の2種類があります。

それぞれGoogle 広告(旧称:Google AdWords)、Yahoo!広告(Yahoo!プロモーション広告)というサービス内で提供されています。

日本国内の検索エンジンのシェア(2021年7月時点、すべてのデバイス)は、Google が 約77%、Yahoo! が 約19%となっており、これらの2つの媒体で約96%のシェア率を占めていることがわかります。

国内の検索エンジンシェア率のグラフ
データ引用元:Search Engine Market Share in Japan - November 2021

まずは、国内で最も高いシェア率を占めているGoogle広告から始めてみるのが良いでしょう。Google広告の掲載結果をみて、広告効果の良かったものを抜粋してYahoo!広告でも走らせてみる、といった運用方法がおすすめです。

Google広告を利用すると、検索結果画面に加えてGoogleマップやGoogleショッピングなどの、Googleが提供するサービスにも広告が掲載されます。同様に、Yahoo!広告の場合は「Yahoo!知恵袋」などのサービスにも広告が掲載されます。

また、それぞれのパートナーサイトの検索結果にも広告を表示させることができます。

Google:livedoor、BIGLOBE、goo、OCN、AOL.JP、au Webポータル、Thchnorati、LUNASCAPE、Hatend、Aladdin、infoseekなど

Yahoo!:Ameba、@nifty、bing、エキサイト、So-net、Live Search、日経ネット、朝日新聞デジタル、フレッシュアイ、MY J:COM、MY Cloud、オールアバウトなど

掲載エリア

出稿した広告は、検索エンジンの検索結果画面に表示されます。

上部と下部に掲載枠があり(どちらかの場合もある)、広告には赤枠で囲っているようなラベルがつき、自然検索のものと見分けることができます。

Googleの検索結果画面の広告と自然検索の掲載枠

広告のフォーマット

リスティング広告のフォーマットはテキストで、基本的には「広告見出し・リンク先のURL・説明文」の3つの要素で構成されています。

リスティング広告の広告フォーマット
引用元:テキスト広告について - Google 広告 ヘルプ

広告見出し、説明文にはそれぞれ文字数の制限や使用できる文字や記号の規定があります。
また、これらの3つの要素に加えて、広告表示オプションを追加することができます。
広告表示オプションとは、連絡先やサービス内容の詳細などを検索結果画面に表示することができる機能です。このオプションを追加することでユーザーにとっての関連性を高めることができるだけではなく、検索画面上に表示される広告の面積を広げることができ、より広告がユーザーの目に留まりやすくなります。広告表示オプションは無料で設定することができるため、リスティング広告を出す際は必ず設定するようにしましょう。

アカウント構造

リスティング広告のアカウントは、アカウント-キャンペーン-広告グループ、という形で階層になっています。それぞれで設定できる項目や範囲が異なってくるため、以下で下の階層からさかのぼって解説します。

リスティング広告のアカウント構造について_キャンペーン_広告グループ_キーワード_広告

広告グループ

広告を出す際には、キーワード、広告、リンク先のセットが必要になります。しかし、広告の数だけそれらのセットを作成するのは非常に骨が折れる作業です。そこで、似たキーワードやリンク先をまとめる役割を果たすのが広告グループになります。ひとつの広告グループ内に、広告やキーワードは複数登録することができるため、ニーズが似ているキーワードをまとめて広告を作成していくことで、効率的に運用を進めていくことができます。

キャンペーン

キャンペーンでは、広告グループをまとめるものです。ここでは1日の予算や広告の配信地域、ターゲットとなる言語などの設定をまとめて行うことができます。

アカウント

リスティング広告のアカウント構造の最上位となるのがアカウントです。広告グループの集合であるキャンペーンをまとめる、最も大きなくくりになります。管理権限や支払情報などを設定することができます。

料金システム

リスティング広告の料金システムには、「クリック単価制」と「入札」という仕組みに特徴があります。

クリック単価制

リスティング広告は、掲載された広告がユーザーによってクリックされたときに初めて費用が発生する仕組みとなっています。
そのため、広告が掲載されただけでは費用は発生しません。

入札

リスティング広告を出稿する際は、広告を掲載する枠を購入するのではなく、キーワードに対して入札するという仕組みをとります。

「このキーワードで検索したユーザーに対して広告を表示させるために、この金額までなら支払いができます」といった形で上限クリック単価と呼ばれる金額を指定し、オークションに入札します。そしてそのオークションによって、掲載される広告とそれらの掲載順位が瞬時に決定されるという流れです。

また、広告を表示させるには最低出稿金額以上での入札が必要となります。最低出稿金額はキーワードによって変化し、検索ボリュームが多い人気のあるキーワードは高額に、競合性の低いキーワードは比較的安価になる傾向があります。キーワードごとの費用感については、Googleのキーワードプランナーという無料のツールで簡単に調べることができるため、クリック単価を手動で設定する際には事前に確認するのが定石です。

掲載順位の決まり方

先ほど、オークションによって掲載される広告と掲載順位が決定されることを説明しました。
ここでは、そのオークション内でそれらがどういった基準で決定されているかについて解説します。

主に決定の要素としてあげられるのは、「入札単価」と「広告の品質」の2つで、それらを掛け合わせて算出される「広告ランク」が高い順番に広告が掲載されます。

リスティング広告の掲載順位の決まり方

広告の品質は「品質スコア」で確認することができます。

品質スコアは1〜10 の数値で表され、広告のクリック率、広告とキーワードの関連性、ランディングページの品質などから判定されます。

数字が大きいほどキーワード、広告、ランディング ページがユーザーにとって有用であるということを示します。

もし広告の掲載順位が入札単価のみによって決まってしまうとしたら、多くの広告費を持つ広告主によって掲載可能な枠が独占されてしまうだけでなく、検索語句との関連性が低い広告が掲載され、ユーザーにとっての利便性を下げることにつながる恐れがあります。

広告を上位に掲載するには、単純に多くの広告費が支払えるだけでは不十分で、ユーザーのニーズに合った広告であるかどうかも非常に重要です。

また、実際に広告がクリックされた際に支払うクリック単価もこの時に決まります。セカンドプライスオークションという仕組みが取り入れられており、事前に指定してある入札単価よりも実際のクリック単価は安くなります。

リスティング広告のメリット

リスティング広告には多くのメリットがあります。

ここでは特筆して3点をご紹介します。

・顕在層のユーザーに広告を配信できる

・ 少額から運用できる

・運用改善がしやすい

顕在層のユーザーに広告を配信できる

前述したとおり、リスティング広告はユーザーの検索行動に連動して掲載される広告です。

そのため、検索という行動に至るほどのニーズをすでに持っているユーザーに対してアプローチを行うことができます。

具体的に商品やサービスの情報収集を行っているユーザー、つまり購買意欲が高い顕在層のユーザーに広告を表示することで、成果に結びつく確率が高くなるといえます。

リスティング広告やディスプレイ広告、動画広告など、それぞれの広告メニューによってアプローチできるユーザーの層が異なるため、どの層のユーザーに対してアプローチを行いたいかを明確に理解し、適切な広告メニューを選択すると、より効果的な運用が行えるでしょう。

少額から運用できる

リスティング広告は、比較的少額の予算から運用することも可能です。

成果が約束されているわけではないですが、広告予算が十分に確保できない場合でも手軽に始められる広告媒体は他に多くあるわけではないため、1つのメリットといえるでしょう。

Google広告の公式ヘルプでも、初めての利用の場合、1 日の予算を1,000〜5,000円程度に設定することが推奨されています。

また、リスティング広告のクリエイティブは基本的にテキスト形式であるため、クリエイティブの制作費用もかかりません。 

運用改善がしやすい

リスティング広告の運用結果はリアルタイムで広告画面に反映され、管理画面からいつでも確認することができます。

そのため、表示回数、クリック数、コンバージョン数、ユーザーのクエリ(検索語句)などの詳細な指標をもとに、迅速にPDCAサイクルを回していくことが可能です。

何かトラブルが起こった場合に即座に広告の出稿を停止することもできますし、広告費の増減や、クリエイティブの追加などにも臨機応変に対応することができます。

リスティング広告のデメリット

次にリスティング広告のデメリットを4点説明します。

・運用に時間と知識が必要

・コストがかかる

・避けられる可能性がある

・認知拡大には向いていない

運用に時間と知識が必要

先ほども説明いたしましたが、リスティング広告の運用結果は管理画面からいつでも確認することができます。

また、リスティング広告は運用型広告であるため、従来の純広告とは異なり、広告の配信を始めてから場面に応じて手を加えていく必要があります。

これらは先ほどメリットとしてあげた運用改善の行いやすさにつながりますが、裏を返せばその分運用改善を行うための知識をつけなければならないということになります。

知識をつける時間がない、細かな運用改善を行う人的リソースが確保できないという場合には、代理店に運用代行を依頼するのもひとつの手段としておすすめです。

コストがかかる

メリットとしてもお伝えしたとおり、たしかにリスティング広告は少額の予算から運用を行うことが可能です。

しかし競合が多く存在する人気のキーワードで広告を出稿したいとなると、オークションに勝つことができず、検索結果画面に広告を表示させること自体が難しいです

たとえ少ない予算のなかで広告を表示できたとしても、分析・改善を十分に行えるだけのクリックを獲得できない可能性があります。

また、社内で運用担当者を付ける場合にはその人件費、代理店など外部に運用を依頼する場合にはその代行費としてのコストがかかることにも注意が必要です。

避けられる可能性がある

広告が検索結果画面の上部に表示されているという知識を持っているユーザーによって、広告のクリックを意図的に避けられる場合があります。

広告とわかっているものをわざわざクリックしない、というユーザーが一定数存在することも頭に入れておくと良いでしょう。

認知拡大には向いていない

リスティング広告は認知拡大を目的とした運用には不向きです。

まず、リスティング広告はユーザーの検索行動に連動して広告が表示されるため、ある程度具体的なニーズを持ったユーザーにしか広告をあてることができません。

それでもビックワードのような認知拡大につながるキーワードで広告を出稿するといった方法はありますが、ビックワードは競合が多くクリック単価が高騰する傾向にあるため、リスティング広告で認知拡大を狙うのはあまり現実的ではないといえます。

認知拡大を目的としてインターネット広告を利用するのであれば、ディスプレイ広告や動画広告など、興味・関心、認知の層にリーチできる広告メニューの使用をおすすめします。

パーチェスファネルと広告メニューの例

自然検索との違い

検索結果画面には、リスティング広告のほかに自然検索の結果が表示されます。

これらの違いについて説明します。

自然検索、SEOとは

自然検索とは、検索結果画面に表示される検索結果のうち、広告枠を除いたもののことを指します。

別名をオーガニック検索、オーガニックサーチともいいます。

また、自然検索において、GoogleやYahoo!などの検索エンジンの検索結果画面上で自分のWebサイトを上位に表示させるため、検索エンジンにWebサイトの内容を理解してもらいやすくなるよう最適化することをSEOといいます。

SEOとはSearch Engine Optimizationの略語で、日本語では「検索エンジン最適化」となります。

具体的には、外部施策(リンク構築など)、内部施策(キーワード・HTMLの最適化)、コンテンツ制作といった対策を行います。

こういった対策を行うことによってWebサイトが検索結果画面の上位に表示されやすくなり、ユーザーの目に留まりやすくなります。

リスティング広告と自然検索の違い

リスティング広告と自然検索の異なる点として、主に以下の3点があげられます。

・コスト

・コントロール性

・即効性

コスト

リスティング広告はクリック課金制であるため、ユーザーに広告がクリックされるたびに費用が発生しますが、自然検索の場合はユーザーのクリックに対して費用が発生することはありません。

コントロール性

リスティング広告は広告ランク(品質スコア×入札金額)によって掲載順位が決まるため、品質スコアや入札金額の改善を行うことで、掲載順位をある程度コントロールすることができます。

一方で自然検索の場合、掲載順位は検索エンジンのアルゴリズムによって決定されるため、運用者側での掲載順位のコントロールが難しいといえます。

即効性

リスティング広告は、運用結果をほぼリアルタイムで運用画面から確認することができ、広告についての変更もすぐに反映させることができます。

一方で、自然検索はコンテンツ制作やサイト内の改善に時間を要するだけではなく、SEOに取り組んだとしても検索結果を上位表示させるには少なくとも数か月程度時間がかかります。

しかし、その分継続性が高く、長期的な資産として保有することができるといったメリットも持ち合わせており、リスティング広告を行えば自然検索についての対策が必要ないというわけではないため注意が必要です。

運用のコツ

リスティング広告を運用する際に押さえておくべき3つのコツをご紹介します。

・スピード感をもってPDCAサイクルを回す

・ユーザーに寄り添った広告を作成する

・ロングテールキーワードを狙う

スピード感をもってPDCAサイクルを回す

運用結果をリアルタイムで確認することができ、さらに改善施策を即座に運用に反映させることができることは、リスティング広告の運用における最大のメリットであるとも言っても過言ではありません。

リスティング広告は別名運用型広告とも呼ばれているように、広告の配信を開始してからの運用が成果を大きく左右します。PDCAサイクルを回さずに、改善を行わない状態で広告を配信しっぱなしの状態にしてしまうと、かけている広告費は無駄になってしまいます。

広告に対するユーザーの反応や、競合の状況、季節性など様々な要素を拾いながら、早いスピードで計画、実行、効果検証、改善行動というサイクルを繰り返すことで、限りある広告費のなかでのパフォーマンスを最大化していきましょう。

ユーザーに寄り添った広告を作成する

リスティング広告はプル型広告(ユーザーが自らの意思で行動を起こしたどり着く広告)に分類される広告メニューで、ユーザーモチベーションを測りやすいことが特徴です。

ユーザーモチベーションを図るために有効な方法のひとつとして、ユーザーのクエリ(検索語句)を見る、という方法があります。

ユーザーがどのような検索ワードで検索したかを見ることで、どういったニーズを持っていて何を知りたいユーザーによって自社の広告がクリックされたのかを確認することができます。

そのため、ユーザーをWebサイトへと誘導するには、どのようにしてユーザーのニーズをくみ取り、ユーザーに寄り添った広告を出すかが重要になります。

また広告を作成する際は、広告文とキーワードに矛盾が生じないよう注意しましょう。

広告文とキーワードの関連性は品質スコアを決定する要素のうちのひとつであるため、広告の掲載順位の決定にも関わってきます。

広告文とキーワードの関連性が高ければ、入札単価を抑えていても上位表示を狙える可能性があるため、広告文を作成する際には意識してみてください。

ロングテールキーワードを狙う

ロングテールキーワードとは、複数のキーワード(基本的に3語以上)を組み合わせた検索ワードで、目安として月間の検索ボリュームが1000回未満と少ないキーワードのことを指します。

ロングテールキーワードを狙うメリットとして以下の5点があげられます。

・ユーザーのニーズをとらえやすい

・コンバージョン率が高い

・上位表示されやすい

・安定的なアクセスが見込める

・音声検索への対策になる

ユーザーのニーズをとらえやすい

ロングテールキーワードは、ビックワードに比べてユーザーのニーズをとらえやすいキーワードです。

例えば「コーヒー」というビックワードを例にあげると、このワードで検索を行ったユーザーはコーヒーを飲めるカフェを探しているのか、コーヒーの産地が知りたいのか、あるいはコーヒー豆を挽く方法が知りたいのか、どのような意図をもった検索行動なのかをとらえるのが難しいです。

しかし、「コーヒー 通販 おすすめ」というロングテールキーワードであれば、コーヒーを通販で購入したいというユーザーの検索の意図をはっきりととらえることができます。

コンバージョン率が高い

ロングテールキーワードから流入してくるユーザーはある程度はっきりとしたニーズを持っています。

先ほどの「コーヒー 通販 おすすめ」という例を用いると、このキーワードで検索をするユーザーの多くがすでに購入目的でサイトに訪れていることが明らかです。

このようにロングテールキーワードから流入してくるユーザーはすでにニーズが顕在化しているため、特にコンバージョンにつながりやすくなります。

上位表示されやすい

ロングテールキーワードは検索ボリュームが少ない分ビックワードとくらべたときに競合が少ないため、比較的上位表示を狙いやすい傾向にあります。

安定的なアクセスが見込める

上位表示されやすい理由と重複しますが、対策を行っている競合が比較的少なく検索結果画面上での掲載順位の変動が起こりにくくなります。

一度上位に表示されると安定してその掲載順位を保つことができるため、そこから安定した形でアクセスが見込めます。

音声検索への対策になる

近年、文字以外での検索行動、つまりスマートスピーカーなどによる音声検索への需要が高まっています。

音声検索をする際には検索語句が話し言葉になりやすく、単一キーワードではなく長い文章で検索が行われることが多いです。

音声検索の需要の高まりに伴って、ロングテールキーワードの重要性もますます高まっていくことが予想されます。

おわりに

最後までご覧いただきありがとうございました。

今回はリスティング広告の基本的な知識についてお伝えいたしました。

リスティング広告は、運用型広告の中でも比較的取りかかりやすい広告メニューですので、広告運用の経験がない方も、是非挑戦してみてください。

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